
オーストラリア
インタビュー
医師資格の認定
日本で取得した医師の資格は、オーストラリアでは自動的に認められるわけではありません。オーストラリア医師規制委員会(Australian Medical Council: AMC)による認定試験を受験して合格する必要があります。
AMC試験
AMC試験は二段階に分かれています。
オーストラリアで医師として働くためには、オーストラリア医師規制委員会(Australian Medical Council: AMC)の試験に合格する必要があります。この試験は、外国で医師の資格を取得した者がオーストラリアの医療の基準を満たしているかを確認するためのものです。
AMC試験は大きく分けて2つのステップで構成されています。
(1)AMC Multiple Choice Question (MCQ) 試験
この試験は、医学の基礎知識をテストする目的で行われます。
多肢選択式の問題で構成されており、一般医学全般にわたる内容が含まれています。
MCQ試験は、全150問の症例問題を5択で選択する試験で、3時間半で実施されます。試験内容は臨床に関する全分野と公衆衛生の疫学となっています。公式には内科 30%, 外科 20%, 産婦人科12.5%, 小児科 12.5%, 精神科 12.5%, Population Health 12.5%で出題されると言われていますが、この通り出題されることも少ないため全般的に勉強しておく必要があります。
申込み方法
(1) ECFMGのEPIC(Electronic Portfolio of International Credentials)への登録
EPICアカウントを作成し、サイトへログイン後ECFMGが推奨しているオンライン公証サービスのNotaryCamで身元証明書類の認証してもらいます。
費用:US$130
(2) AMCへ登録
AMCのサイトでAMCアカウントを作成します。
費用:AUD$600
(3) 資格情報の確認
EPICにて、卒業証書などの資格情報の確認を実施します。EPICにて使用できる資格リストについては詳しくは下記をご覧ください。
https://www.ecfmg.org/psv/physicians-use.html?id=medical-credentials#mc
資格情報を提出するときは、ECFMGの翻訳要件を満たしている英語文書で提出する必要があります。
翻訳後の証明書と原本をアップロードすることで、ECFMGがAMCへ資格確認ができた旨のレポートを送付します。
レポート作成費用:US$100
(4) AMC試験の申し込み
1~3の手続きを全て完了することで、AMCの申込みができるようになります。
試験はオーストラリア以外でも受験することが可能で、日本は東京と大阪の2箇所で受験することが可能です。
東京1:東京都新宿区西新宿8-1-2 新宿PMO西新宿8F
https://wsr.pearsonvue.com/testtaker/registration/TestCenterDirections.htm?testCenterId=84078&clientCode=AUSTRALIANMEDIC
東京2:東京都千代田区内幸町1-1-1ザ・インペリアルタワー18F
https://wsr.pearsonvue.com/testtaker/registration/TestCenterDirections.htm?testCenterId=50500&clientCode=AUSTRALIANMEDIC
大阪:大阪府大阪市北区梅田1-8-17大阪第一生命ビル12F
https://wsr.pearsonvue.com/testtaker/registration/TestCenterDirections.htm?testCenterId=57585&clientCode=AUSTRALIANMEDIC
試験の詳細はこちら
https://www.amc.org.au/pathways/standard-pathway/amc-assessments/mcq-examination/
(2)臨床試験
臨床試験はシミュレーション形式において、患者様に対し医師の臨床能力を評価する試験です。全16の試験のうち、10つをパスすれば合格となっています。
そのうち2つが採点されないものとなっており、採点される14の試験のうち、10以上の合格が必要だということです。
試験内容は、内科、外科、小児科、産婦人科、精神科、診察の5つで、そのうち問題を読む時間が2分、診察が8分で、時間内に問診、診察、診断、説明のすべてを行います。
英語が話せることが前提ですが、なおかつ医学的な知識と問診能力、適切な言葉選びが必要です。合格率はおおよそ30%といわれており、試験内容は変更されることもありますので、最新情報を確認し受験するようにしましょう。
https://www.amc.org.au/wp-content/uploads/2021/03/Clinical-Examination-Specifications-2021.pdf
- IELTS7.0 or OET350以上取得
- AMC パート1(MCQという筆記試験)
- AMCパート2(臨床試験)
- 1年間の研修(上記試験と同時並行)
- General Registration登録
英語能力の証明
オーストラリアで医師として働くためには、適切な英語能力の証明が求められます。以下は、オーストラリアの医療分野で通常要求される英語能力テストとそのスコアの基準に関する情報です。ただし、これは基本的なガイドラインであり、具体的な要件は変動することがあります。したがって、最新の情報は公式なソースや関連する規制機関のウェブサイトを参照することをおすすめします。
(1)IELTS (International English Language Testing System)
Academicモジュールを受験する必要があります。
各セクション(リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング)での最低スコア: 7.0
全体の平均スコアも7.0以上が一般的に要求されます。
(2)OET (Occupational English Test)
医師のためのOET (Medicine) を受験する必要があります。
各セクション(リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング)での最低スコア: B
これは全セクションでの平均としてのスコアではなく、各セクションごとのスコアとして要求されます。
(3)TOEFL iBT (Test of English as a Foreign Language Internet-Based Test)
一部の規制機関や病院がTOEFL iBTのスコアも受け入れる場合があります。
通常、リーディング、ライティング、リスニングでのスコアが24以上、スピーキングでのスコアが27以上が要求されます。
(4)PTE Academic (Pearson Test of English Academic)
一部の規制機関や病院がPTE Academicのスコアも受け入れる場合があります。
各セクションでの最低スコアが65以上が通常要求されます。
また、英語能力の証明に関しては、テストの受験日からの有効期限が設けられていることが一般的です。例えば、テストの結果が2年以内のものである必要がある場合などです。これについても、各機関や病院の要件をしっかりと確認することが重要です。
登録
オーストラリアで医師として働くためには、オーストラリア保健業界規制機関(Australian Health Practitioner Regulation Agency: AHPRA)に医師としての登録を申請する必要があります。AHPRAは各専門職の監督を行う委員会とともに、登録や認定を行っています。医師の場合は、オーストラリア医師監督委員会(Medical Board of Australia)が関与します。
以下は、医師としての登録に関する基本的な手続きと要件になります。
(1) 種類の理解
まず、どのタイプの登録を申請するかを理解する必要があります。オーストラリアには以下のような医師の登録カテゴリーがあります。
- ・一般登録(General registration)
- ・限定登録(Limited registration)
- ・専門医登録(Specialist registration)
- ・学生登録(Student registration)
- ・その他
(2) 資格確認
すでに述べたように、オーストラリア医師規制委員会(AMC)の試験に合格することで、オーストラリアでの医師としての基準を満たす資格を得られます。
(3) 英語能力
既述の通り、IELTS, OETなどの英語能力テストのスコアが必要となります。
(4) 登録料
登録申請には手数料が伴います。費用は変動する可能性があるため、AHPRAの公式サイトで最新の情報を確認してください。
(5) 必要書類
AMCの試験結果、英語能力テストのスコア、身分証明書、過去の職務経験証明など、登録申請に必要な書類を揃える必要があります。
(6) 申請
公式サイト上でオンライン申請が可能です。必要な情報と書類を添付して送信します。
(7) Criminal History Check
オーストラリア内外での犯罪歴の確認が行われます。
(8) 医師免許の更新
一度医師としての登録を取得しても、定期的な更新(通常は年1回)が必要です。更新時には継続的な専門教育や研修の履歴も提出されることが求められる場合があります。
プロフェッショナル・インデムニティ・インシュアランス: オーストラリアで医師として働く場合、適切なプロフェッショナル・インデムニティ・インシュアランス(医療過誤保険)を持つことが要求されることが多いです。
注意点として、登録要件は州ごとに微妙に異なる場合があります。また、具体的な要件や手続きは変更されることがあるため、AHPRAやMedical Board of Australiaの公式ウェブサイトで最新の情報を定期的に確認することが重要です。
勤務先の確保
オーストラリアの病院や診療所との雇用契約を結ぶ必要があります。地域によっては、外国からの医師を求めている場合もあるため、リサーチをしっかりと行うと良いでしょう。
ビザ
オーストラリアで働くためのビザを取得する必要があります。雇用主がスポンサーとなり、適切なビザを申請する流れとなります。
継続的な研修
オーストラリアでは、医師としての継続的な研修が求められることが多いので、最新の医療知識や技術を維持・向上させるための研修を受けることが必要です。
当ページに関しては2024年1月時点で弊社が独自に調査したもので、最新の情報に関しては各国当局にお問い合わせの上、ライセンスの取得に関する手続きを行ってください。