吉田先生
今回お話を聞いたのは、現在オーストラリアで活躍中の吉田まゆみ医師。もともとイギリスの医学部を卒業し、複数の国で医師免許を取得。現在はオーストラリアのブリスベンを拠点に、総合診療医として多くの患者さんの健康を支えています。海外でのキャリアの選択や、医療現場での経験についてインタビューしました。
吉田医師が海外で働くきっかけとなったのは、イギリスの医学部での学びからでした。16歳で渡英し、多感な時期から地道な努力を重ねてイギリスの大学へ進学。研修やボランティアも含め、世界各地における様々な医療を学ぶ機会に恵まれました。その後、イギリス、オーストラリア、アメリカ、日本の医師免許を取得しています。
「もともと日本で働くことにも興味がありましたが、海外の温暖な気候や多様な文化にも魅力を感じていました。初めてオーストラリアで勤務した際には、異なる医療システムと文化に触れることで新たな視野を得ることができました」と吉田医師。
オーストラリアの医療は日本とは異なる点が多く、特に印象的なのは、総合診療医(GP)の役割とチーム医療の重要性です。
「オーストラリアでは、患者さんが専門医を受診する際に、まずGPの紹介状が必要です。GPは患者さんの最初の窓口となり、幅広い診療を行う、かかりつけ医のような役割を担っています」と吉田医師。
また、海外では、医療スタッフ全員がフラットな関係でチームを形成し、協力して診療を進める文化があるそうです。「日本のように医師が主導するだけでなく、看護師や受付スタッフなど全員が対等に意見を交わしながら医療を提供しています。この環境はとても働きやすいです」と語ります。
ブリスベンの吉田医師のクリニックは、主に日本人患者を対象としています。患者さんの多くは駐在員や留学生、ワーキングホリデーで訪れた方々で、日本語での医療を求めて来院するケースが多いそうです。
「言葉の壁や文化の違いに不安を感じる患者さんが多くいらっしゃいます。日本語で診療を受けられることで安心される姿を見ると、とてもやりがいを感じます」と吉田医師。医療の質だけでなく、患者の心のケアにも重きを置く姿勢が印象的です。
海外で働く際の課題として、吉田医師は「言語」と「文化の違い」を挙げました。
「医師として海外で働くためには、高い語学力とコミュニケーション能力が求められます。現地スタッフや患者さんとしっかり信頼関係を築いていく必要があるからです。現地の医療チームのサポートや、自分自身の経験を重ねることで徐々に適応できるようになります」と語ります。
また、医療システムの違いにも対応が求められました。「保険制度が国や個人ごとに異なるため、患者さんの背景に合わせて柔軟に対応する必要があります。この点が最初は難しかったですね」とのこと。
海外での医師活動を目指す若手医師や医学生に向けて、吉田医師は以下の3点をアドバイスしています。
「海外では、異なる背景を持つ人々と一緒に働きます。他者の考え方や文化を尊重し、多様性を受け入れることが大切です。」
オーストラリア、ブリスベンのクリニックで日本人コミュニティへの医療サポートに従事してはや10年。自身も外国人として海外で人生の大半を過ごしてきた吉田医師は、国籍に関わらず、マイノリティーへの医療サポートを今後も続けたいという思いがあります。「いずれは日本でも医療を提供し、特に言語や文化の壁に直面する外国人患者をサポートしたいと考えています。また、将来的には人道支援の分野にも携わりたいと願っています」と吉田医師は語ります。
吉田医師へのインタビューを通じて、海外での医療活動の魅力と課題が浮き彫りになりました。この記事が、海外での医師キャリアを目指す方々にとって有益な情報となれば幸いです。
当ページに関しては2024年1月時点で弊社が独自に調査したもので、最新の情報に関しては各国当局にお問い合わせの上、ライセンスの取得に関する手続きを行ってください。