小林先生
小林直之先生は、ベトナムの日本人クリニックで診療を行いながら、患者に寄り添う医療を提供する医師です。災害や社会情勢を契機に海外医療の道を選択し、日本人医師としてグローバルな視点で医療活動を展開されています。
小林先生が現在勤務するクリニックでは、日本人を中心に診療を行っています。診療の仕組みとしては、主に海外旅行保険や医療保険を活用したキャッシュレスサービスが一般的です。この点が日本と大きく異なるポイントだと語ります。
「患者の約90〜95%が日本人です。残りの患者は欧米人やベトナムの方々で、異なる言語や文化の対応が求められる場面もありますが、日本国内とほぼ同様の対応をしています」と説明してくださいました。
小林先生が海外でのキャリアを選択したのは、2011年の福島原発事故が契機でした。「当時、日本に長期的に住むことのリスクを感じ、避難の意味も込めて海外へ移住しました。その後、インドネシアやベトナムでの勤務を経て、現在のベトナムのクリニックで働いています」と語ります。また、ベトナム勤務10年の間に時間を捻出して「国境なき医師団」でパキスタン、ガザ、カメルーン、また日本のNGO「ジャパンハート」でカンボジアにおいて活動を行ないました。
特にベトナムでは、日本人コミュニティが比較的小規模なため、患者との関係性を重視した診療が求められるとのことです。
「ベトナムでの勤務は、完全なアウェイ状態からのスタートでした」と小林先生は振り返ります。言語の壁や文化の違い、医療システムの違いに適応する必要があり、特に立ち上げ時の苦労は計り知れないものでした。
「英語が通じるスタッフもいますが、ベトナム特有のアクセントや発音の違いに苦労しました。さらに、ローカルの文化や働き方を理解することが必要で、0から立ち上げることの難しさを痛感しました」と語ります。
現在、小林先生が力を入れているのは、患者に優しい医療の提供です。「患者が安心して受診できる環境を整えることが最も大切です。全ての患者に最善の医療を提供することを心がけています」と話します。
将来的には、医療支援活動に再び取り組みたいとのこと。「ベトナムでの診療はビジネスとして行っていますが、本当の意味での医療支援を再び行うことを目指しています」と、理想と現実の狭間での葛藤を語ってくれました。
海外で働くことを目指す若手医師や医学生に向けて、小林先生は以下のポイントを挙げています。
「英語はもちろん、派遣される国の言語を学ぶことが非常に重要です。それが患者やスタッフとの信頼関係を築く鍵になります。」
小林直之先生のキャリアは、海外での挑戦と日本人医師としての誇りに満ちています。その実体験からのアドバイスは、これから海外でのキャリアを目指す医師にとって非常に参考になるものでしょう。今後も、小林先生の活動がさらなる医療の可能性を広げていくことを期待しています。
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