中川先生
中川フェールベルク美智子先生は、ドイツ・デュッセルドルフで産婦人科医として開業し、日本人女性を中心に診療を行っています。
日本・アメリカ・ドイツでの出産経験を持ち、それぞれの医療制度を熟知する立場から、日本人の患者に寄り添った医療を提供されています。
中川先生は、ドイツのデュッセルドルフで開業医として、婦人科検診や妊婦健診を含めた診療を行っています。
ドイツの医療制度は、日本と大きく異なる点があり、特に予防医療(検診や予防接種)が保険の対象となる点が特徴です。
また、妊娠・出産に関しては、検診は開業医が担当し、分娩は病院で行うという明確な分業制が確立されており、病院は患者を抱え込まず、出産後は開業医が引き継ぐシステムとなっています。
「この流れが非常にスムーズで、病院と開業医の連携が密接なのが特徴です。患者さんも安心して妊婦健診を受けられます」と語ります。
中川先生がドイツで医師として働くことを決意したのは、ご主人がドイツ人だったことが大きな要因でした。
当初、日本で医師としてのキャリアを築いていましたが、夫の事情でアメリカを経由しドイツへ移住することになり、一時はキャリアの継続を諦めかけたといいます。
「アメリカでは出産を経験し、現地の医療制度を知る機会にもなりました。その後、ドイツへ移住した際、夫が私の医師資格のドイツでの適用可能性について調べ、手続きを手伝ってくれました。」
特にデュッセルドルフは日本人コミュニティが大きく、日本語対応の医療を求める声が多かったこともあり、現地での医師としての道が開けたとのことです。
中川先生が海外でのキャリアをスタートする上で最も大きな壁となったのは、現地で医師資格を認められるための手続きと言語の壁でした。
「ヨーロッパでは、医療従事者として働くためには現地の言語が必須です。アメリカや日本のように、日本語や英語だけで診療できる環境はほぼ存在しません。」
さらに、資格が認められた後も、勤務先を自力で見つける必要があるという点が大きなハードルになります。
「私の場合、ドイツ人の夫がいたため就業ビザの取得は比較的スムーズでしたが、一般的には労働ビザの取得が難しく、雇用先が決まらないとビザ申請もできないという問題があります。」
現在、中川先生は日本人女性を中心に診療を行っており、患者の約90%以上が日本人です。
「ドイツに来て不安を感じる日本人女性の健康をサポートすることが、私のやりがいです。ドイツと日本の医療制度の違いを理解し、
両国の間に立って適切な情報提供をすることが、私にしかできない役割だと感じています。」
また、ドイツと日本の医療制度の違いによる戸惑いを減らすことも重要だと語ります。
「日本の検診システムでは、検査結果が簡潔すぎて、異常があると言われても具体的な情報がなく、患者さんがパニックになってしまうことが多いです。
ドイツでは、詳細なデータをもとに診断するため、こうしたギャップを埋めるのが私の役割でもあります。」
中川先生は、すでに長年にわたり日本人女性の診療に尽力されてきましたが、今後は後継者を育てることを考えていると語ります。
「そろそろ年齢的な限界も感じており、後継者が現れることを願っています。現地で困っている日本人をサポートすることは、医療という枠を超えて重要な役割だと思います。」
また、将来的にはオンラインを活用し、日本と海外の医療情報をつなぐ活動にも関心を持っています。
海外でのキャリアを目指す若手医師や医学生に向けて、亀山先生は次のようにアドバイスしています。
中川フェールベルク 美智子先生のキャリアは、家族の事情をきっかけに始まったものの、日本人女性を支えるという使命感を持ちながら築かれたものでした。
海外で働くには、現地の医療制度の理解と語学力が必要であると同時に、柔軟な適応力やコミュニケーション能力も重要であることが伝わってきます。
今後、ドイツでの日本人向け医療サービスの継続と発展に期待するとともに、先生の後継者となる新たな日本人医師が現れることを願っています。
当ページに関しては2024年1月時点で弊社が独自に調査したもので、最新の情報に関しては各国当局にお問い合わせの上、ライセンスの取得に関する手続きを行ってください。