Meilan Daguman先生
今回お話を伺ったのは、米国ネバダ州ラスベガスの地で活躍されているMeilan Daguman先生です。観光目的での渡米、そして予期せぬ人生の転機から一転、米国のカレッジで猛勉強を重ねて医療の道へ。米国陸軍のキャプテンとして前線で医療マネジメントを担った経験を持つ、まさに異色のバックグラウンドを誇る総合診療医です。
現在は自ら立ち上げた「Nippon Clinic」の舵を取り、一般内科診療から精神科を包括する「Integrated care(統合医療)」を実践。複雑な医療システムや多文化社会に正面から立ち向かい、日本人をはじめとする多国籍な患者の「駆け込み寺」として圧倒的な支持を得ています。
自らの手でキャリアを切り拓いてきたMeilan先生に、米国医療のシビアな現実と、激動の中で培った「医師としての心構え」を熱く語っていただきました。
アメリカのネバダ州ラスベガスにある「Nippon Clinic」にて、一般医療と精神科を組み合わせた「Integrated care(統合医療)」を主に提供していると語られていました。体だけでなく、精神的なアプローチも含めて包括的に患者を診るスタイルが中心です。
最近は特にペインコントロール(痛みの管理)に強い関心を持っていると明かされていました。中毒性の高いオピオイドに頼らない選択肢として、ショックセラピーを行う「Stem Wave」という最新マシンを導入し、日々治療にあたっていると話されていました。
アメリカの保険制度は日本のような一律の国民皆保険ではなく、個人が買うもののため非常に複雑だと指摘されていました。1回病院に行くだけで重症状による救急搬送や手術・入院を伴う場合200万〜300万円の支払いにおよぶことも珍しくないほど医療費が高額で、患者の加入する保険によって自己負担額や受診できる医療機関が全く異なる現状を説明されていました。
医師がいくら必要だと判断しても、保険会社の許可がなければ保険が出ない仕組みに驚かされたと振り返られていました。安価な薬や別の検査を先に試すよう会社側から強制されることも多く、医師の裁量や患者の希望通りに治療が進まない複雑さがあると吐露されていました。
いきなり心臓などの専門医を受診することはできず、まずはプライマリ・ケアの医師が医学的必要性を証明して紹介状を書く必要があるなど、日本とのシステムの違いを解説されていました。
もともとアメリカで働く目的は「これっぽっちもなかった」と笑顔で語られていました。1998年にリフレッシュ目的で訪れた2か月の観光旅行がすべての始まりだったそうです。 現地での新たな出会いから、「必要とされる場所で生きていくのもいいかもしれない」と国際結婚を決め、そのまま米国に留まることになったというドラマチックな経緯を明かされていました。
渡米当初はほとんど英語が喋れず、ラスベガスへ移住してからも言葉が障壁となってホテルの仕事すらなかなか決まらない苦労があったと回想されていました。アメリカで生きていくためのスキルが何もなかった状態から、子育てをしつつ「医療職になれば仕事のメリットがある」という助言を受け、カレッジで一から猛勉強して医療の世界へ飛び込んだと語られていました。
政府の予算や保険会社の都合で医療の質が左右される国だからこそ、中途半端な収入の「無保険層」が一番ケアを受けられないという社会の歪みを問題視されていました。また、日本人の患者は我慢強く、薬や米国の保険を怖がって治療を拒否しがちなため、アプローチに工夫が必要だと語られていました。
一番のやりがいは、やはり「患者さんが元気になった姿や喜ぶ顔を見ること」だと目を輝かせていました。コロナ禍で足止めされた日本人家族をサポートし、涙ながらに「これで日本に帰れます」と感謝された瞬間は、この仕事をやっていて本当に良かったと感じると深く噛み締められていました。
お金の有無に関わらず、誰もが医療を受けられる環境作りに関わっていきたいと強い抱負を語られていました。自身がこれまでの経験で得た様々な支援制度やプログラムの情報を患者に提供し、少しでも多くの人に医療が行き渡るサポートをしていきたいと先を見据えられていました。
日本人の美徳である「おとなしさ」はアメリカでは通用しないと断言されていました。良くも悪くも、自分の意見をはっきりと周囲に伝える「発言力」や「自己主張・表現力」が必須になると指摘されていました。
日本のように「きちんとしている」ことが当たり前ではない社会なので、いちいちフラストレーションを溜めず、「まあいいか」と気楽に受け流す心の余裕を持つことが大切だとアドバイスされていました。
日本の医療教育や臨床の「きめの細かさ」「技術・知識の高さ」はアメリカでも非常に高く評価されるため、自信を持って挑戦してほしいとエールを送られていました。
専門医への紹介時など、医師同士の横の繋がりが重視される社会だからこそ、日本人同士で固まらず、様々なバックグラウンドの人と関わって関係性を築く力を磨いてほしいと語られていました。
日本の医療教育で培われる「きめの細かさ」や確かな「技術力・知識の高さ」は、アメリカの現場でも大いに信頼され、評価されるポイントだと太鼓判を押されていました。
一方で、どんな状況でも専門用語を駆使して論理的に説明し、自分の意見をはっきりと周囲に伝える「自己主張・表現力」は意識して伸ばしていく必要があるとアドバイスされていました。
アメリカでは、医師のように専門知識や技術が高い人材は国全体から非常にリスペクトされ、歓迎される風土がある点に驚いたと話されていました。能力さえあればスポンサーなども比較的見つかりやすい環境が整っている点は魅力だと語られていました。
一方で、医療の現場に保険会社がこれほど強く介入してくるとは想像以上だった、と語られていました。医師が必要だと判断しても、保険会社の意向で安価な薬や別の検査を試すよう強制されるなど、医師の裁量通りに簡単にケアが進まないもどかしさがあると指摘されていました。
日本人医師の「真面目さ」や「きめの細かさ」、そして「確かな技術」は現地でも間違いなく大きな武器になると確信されていました。その強みを活かしつつ、アメリカの「物事をはっきり言う文化」に臆せず適応し、対等に渡り合える高いコミュニケーション能力と明確な自己主張ができることが求められると語られていました。
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